もう二度と離れない

今年の七夕の日………二匹の決着はついた。
勝鬨もあがらず勝敗が分からぬまま、二匹は忽然と姿を消してしまった。生死すら分からないまま時は過ぎた。
二人を分つ為であった天の川は其の役目を終えたのを悟ったのか、微睡む様に穏やかな流れに変わった。
そして其れからというもの、美しく揺蕩う天の川を二匹の“つがい”の狼が楽しそうに駆け回っているのが度々見られた。
雄が走るのが早過ぎて雌が追いつけなくなると、雄は振り返って雌が追いつくのを待った。
二匹は時折そっと寄り添い、愛おしそうにお互いの顔や体を舐めたり、美しく輝く星々を眺めたりしていた。
其れらの光景はまるでこう物語っているようだった。
『もう二度と離れない』